膝の水は、抜くとくせになりますか?
よく「膝の水を抜くとクセになりませんか?」と心配している患者さんがいますが、そんなことはありません。水(関節液)が溜まるのは膝関節に炎症が起きた結果みられる症状であり、炎症が続けば、水を抜いても抜かなくても溜まり続けます。水を抜く目的は、水が溜まることによって起きる二次的な痛みや重だるさの改善や水の中にある炎症の原因物質を取り除くために行います。
そもそもなぜ水が溜まるの?
何らかの理由(ストレスなど)で関節に炎症が起きると、その炎症に伴って関節液が生成されます。生成されたはいいものの関節液の逃げ場がない場合、溜まった関節液のせいで膝が腫れてしまいます。
膝の水で来院する患者さんは実は“2つの痛み”を感じている
膝が腫れて痛くなって来院される患者さんは、下記2つの痛みを同時に感じています
1、関節炎の炎症による痛み
炎症していることによって引き起こる痛みです。
これは腫れていなくても発症します
2、腫れによる痛み
腫れたことそのものによる痛みです。
本来存在しないはずの多量の関節液が関節の袋を圧迫し続けることで発生した2次的な痛みです。痛みと言うよりは重だるさとか、膨満感に近いようです。
膝の水を抜く(穿刺)すると、その場で腫れによる痛みが解消されます。
それだけでも痛みが半減されるため、患者さんにはかなり喜んで頂けます。 ただし原因である炎症までも解決したわけではありません。炎症が続けば、残念なことにまた関節液が溜まってしまうかもしれません。それに関しては患者さんひとりひとりちがいます。溜まってしまう人もいれば、全く溜まらず鎮静化する人もいます。
まとめ
当院では上記内容を患者さんに説明の上、関節穿刺するかどうか決めています。関節穿刺してもすぐ溜まってしまうようなケースにおいては、次回以降、あえて穿刺を行いません。炎症に対する消炎治療(ステロイド注射やヒアルロン酸注射)を行っています。