2019年09月19日
神経ブロックとは?種類や適応疾患、使用する薬剤について解説
■神経ブロックとは
主に末梢神経を一時的あるいは長期間、機能を停止させる事で、痛みを軽くすることを目的とした治療法です。
「知覚神経ブロックによる除痛効果」や「交感神経ブロックによる血行改善効果」などにより、痛みを緩和し、またこれらの作用に基づいて、「痛みの悪循環」を断ち切る事で、血流を改善し、患部の自然治癒力を高める効果もあります。
神経機能を停止させるにあたっては、神経自体あるいはその近くに局所麻酔薬を作用させたり、神経破壊を作用させたり、高周波熱凝固、パルス高周波通電などを行います。
神経ブロックは、内服薬などと違い、患部に限局して発揮することができます。
痛みの原因と思われる神経を遮断することで、本当に痛みが軽減するかどうかを確認できるため、診断にも役立てることができます。
神経ブロックは、一度の治療で完治するものではなく、複数回実施するのが一般的です。
■神経ブロックの種類
神経ブロックには比較的容易にできるものから、難易度の高いものまでいくつかの種類がありますが、主なブロックの種類と適応疾患を下記にまとめました。
ブロックの種類 | 適応疾患 |
---|---|
硬膜外ブロック(頸部、胸部、腰部、仙骨) |
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、腰下肢痛、椎間板ヘルニア、血流障害、術後瘢痕痕疼痛症候群、がん性疼痛 など |
交感神経ブロック(胸部交感神経節、星状神経節、腰部交感神経節)トリガーポイント注射 |
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、腰下肢痛、椎間板ヘルニア、血流障害、術後瘢痕痕疼痛症候群、がん性疼痛 など |
神経根ブロック |
頸部、腰背部痛、下肢痛 など |
椎間関節ブロック |
椎間関節に由来する腰痛症 |
肋間神経ブロック |
肋間神経痛 |
■神経ブロックが適応される疾患
■そのほかの神経ブロックが適応される主な疾患
また、顔面神経麻痺や網膜中心動脈閉塞症、アレルギー性鼻炎、突発性難聴などの痛みが起こらない疾患にも、血流改善を目的として行われます。
■神経ブロックに使用する薬剤について簡単に解説
1.局所麻酔薬とは?
一時的に神経伝達をブロックする場合に使用する麻酔薬です。
神経に直接、あるいはその周辺に作用させるため限局的な効果を得る事ができます。
2.神経破壊薬とは?
長期間、ブロックの効果を期待する場合には神経破壊薬を使用する場合もあります。
神経破壊薬を使用するときには、事前に必ず局所麻酔薬によるブロックで、効果を確認してから行います。
なお、神経破壊薬を注入する前に造影剤を投与して確認してから行う場合もあります。
※当院で実施することはありませんので、必要な場合は、適切な医療期間をご紹介いたします。
3.副腎皮質ステロイドとは?
神経に生じた炎症を抑える場合に1の局所麻酔薬に添加します。
4.造影剤とは?
針の場所の確認や投与する薬液の流れを確認するために使用します。
針が正しい位置にあるかどうかや薬液が流れていかなくてもよい神経の方向に流れていかないかなどを確認することができます。
単独、もしくは1の局所麻酔薬に混ぜて使用することもあります。
5.高周波熱凝固
高周波熱凝固とは神経を高周波エネルギー(70~90℃)で熱凝固させて神経伝達を遮断する方法です。
局所麻酔薬の効果が一時的なのに比べ、目的とする神経伝達を長期間にわたって遮断することができます。
※当院で実施することはありませんので、必要な場合は、適切な医療期間をご紹介いたします。
6.パルス高周波法
高周波電流を42℃以下で間歇的に、通電することで熱凝固を起こさせずに痛みを鎮める方法です。
神経の破壊をおこさないため安全で低侵襲な治療法となります。
※当院で実施することはありませんので、必要な場合は、適切な医療期間をご紹介いたします。
当院外来では、局所麻酔薬使用による神経ブロックのみ、行っています。
基本的にすべて健康保険が適応され、初診時も日帰りでの実施ができます。